死に際
私の同居人の祖父は、お寺の住職だった。厳格な人で、周りからは「目茶目茶怖いお寺さん」と畏怖されていた。
私は直接お目に掛かったことがないが、私の祖父(故人)が碁仲間で、親しくしてもらっていた。

亡くなる5年ほど前から視力を失っていたが、着衣が乱れていたことは一度もなかったそうだ。
そして亡くなるとき。
医師が勧める入院を「いらん」と断り、、家での最期を選んだ。
入院すればいくらかは命も延びると周りに言われても、「そんなことしても仕方ない」と断固拒否した。

いよいよということで、親戚中が呼び集められた。
皆が枕元に集まったその場で、
もうそんな力など残っていないはずなのに、
布団から身を起こし、
正座し、
合掌し、
静かに一礼し、
再び横になり、
そのまま息を引き取った。

最後まで周りの人を感心させていた。

小さなお寺にとても入り切らないほどの弔問客が訪れたが、
お悔やみの言葉は
「とても怖い人でしたけど、立派な方でした」
「とても恐い方でしたが、よくしてくださいました」
と、必ず「とても怖い方でしたが」という枕詞がついていたという。さすがである。
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by gyogyo-6 | 2005-08-15 12:46 | よしなしごと


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